そして伝説へ・・・

私は、すっごく厳格な父と母と、そして祖母に育てられました。

食事の時などは、テレビなんてもってのほか。

5人揃って、正座して食べたものでした。

手は肩よりも上に挙げたらダメ、とか、迷い箸はダメ、とか。

只管沈黙の中で食べるのです。

で、私が小学校の時。

祖母は言葉遣いにも厳しくて、本当によく叱られました。

私が「これ、私のやで」とか「そんなんちゃうで」とか言う物なら、すかさず祖母が
「"で"と違て、"え"て、お言い!」と叱責されるのです。

それでも、まだまだ小さかった私は、学校なんかで友達が「〜で」と言うので、家の中でも、つい「〜で」と言ってしまうのです。

その度に、祖母に叱られるのです。


弟とはしゃいで、つい「〜で」と言ってしまった時。

毎日同じことで叱っていた祖母は、遂に激怒して、
「で〜で〜言うたら、あかんにゃで!」
と、言い放ちました。

父も母も弟も、そして私も「何にも聞かなかった」ように、ご飯をもしゃもしゃと食べるのでした。


そして、10年程経って、独り暮らしをしていた私が、実家に帰った時。

この時はもう、祖母とは別に、父と母と弟が暮らしていました。

弟の部屋で、2人で話している時に、ふいにこの、祖母の発言を思い出しました。

「なぁ、おばあちゃんなぁ、でーでー言うたら、あかんにゃで!って、言わはったん、覚えてるか?」
「あ、オレも覚えてる!」
「ホンマになぁ、だーれも、よう突っ込めへんかったなぁ」

「なぁ、おねえちゃん、」
「何?」
「かーかー言うたら、あかんのか?」
「なんや、それ」
「わんわん言うたら、あかんにゃわん」
「にゃーにゃー言うたら、あかんにゃにゃん」
私達は笑いながら言い続けていました。

程なく、母が弟のゴミの収集にやってきました。

「あんたら、何言うてるん」
「どんどん言うたら、あかんにゃどん」
母も祖母の言葉を覚えていたらしく、笑いながら部屋を出ていきました。

それからも私達姉弟は、ひーひーと笑いながら、交互に言い続けていました。

「めーめー言うたら、あかんにゃめー」
「られられ言うたら、あかんにゃられ」
「こらこら言うたら、あかんにゃこら」

もう、こうなったら、止められません。
どっちがより面白いか、そしてどこまで言い続けられるか。
2人とも、自分から止められずに、只管言い続けていました。

「バイクバイク言うたら、あかんにゃバイク」
「ほわほわ言うたら、あかんにゃほわ」

2時間は経っていたでしょうか。

母がゴミ箱を持って、また弟の部屋に戻ってきました。

まだ言い続けていた私達に対して、
「あんたら、また言うてんのかいな! ええ加減にしよし!」

母の一喝で、止めざるを得ない状況に。

私達は笑いながら、漸く止めることができたのでした。


昨夜、寝る時に、たかしが
「かあちゃん、何か、昔の面白いお話して」
と言うので、この話をしたのでした。

それで思い出し、たかしに話して聞かせたのですが、その感想。

「かあちゃんも、わーくんも、前からずっとアホやってんな」
でした。

何も言い返せずに「早よ、寝よし」と告げ、眠りに就いたのでした。

久し振りに、亡弟と笑いながら話した事を思い出しました。

たかしは「おやすみおやすみ言うたら、あかんにゃおやすみ」と言って、寝ました。
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Commented by eriarie at 2013-04-13 09:51
爆笑しながら読みました。
地元の方言で同じようにできるかと一瞬考えましたが、「あかん」に相当する言葉が思い浮かばず。

それにしても、おばあ様の言うとおり、「で」と「え」で、随分と上品さが違いますね。
Commented by marurin373 at 2013-04-13 17:18
>eriarieさん
ありがとうございます。
おかげで、私も「〜え」と言うようになりました。
でもちょっと昔の言葉みたいじゃないですか?
by marurin373 | 2013-04-06 00:18 | 思うこととかなど | Trackback | Comments(2)