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心が動いた日

たかしは、お陰さまで、金曜日から保育園に行っています。

ホンマにやれやれです。

私はちゃんと1人で仕事に行き、そして大雨の中、お迎えに。

買い物をしないと、食べるものが。
「きゅうりが なくなった」って言われてたんやった。

仕方なく買い物をして、いざ帰る決心をした時。

ふいに、誘惑されました。

「かあちゃん、えらい あめ、ふってるしな、タクシーで かえろ。
 もし あめで すべって こけたら、かあちゃん、あし もっと わるくなるよ」

ふらふらとタクシーに乗って帰りました。


そして、今日は友達が神戸に来てくれたので、会いに出掛けました。

お昼ご飯を食べた後、異人館の方へ。
「CAP HOUSE」というところへ行きました。

たかしは、いろんな作品を意外と熱心に観ていました。
これなら、いろんな作品展にも連れて行けます。

いろいろと観て回った後、友達は講習会へ。

たかしは、友達が言う「本のお勉強」がどんなものか知りたくて、しつこくしつこく「どんな べんきょう?」と聞いていました。

私とたかしは、そこで友達と別れて三宮へ。

大きな交差点のところで、「日本レスキュー協会」の黒ラブの男の子がいました。

私は思わず、財布を取り出して、本当に僅かの募金をしました。

たかしはずっとそのワンちゃんの傍を離れようとはせず、ずっとよしよしをしていました。


私は、○ちゃんが亡くなったことを、もう平気で話せるようになったと思っていました。

その時はごく親しい友達にしかメールができなかったし、○ちゃんの最期の様子を話す時は必ず泣いていました。

でも、何度か同じ話をしている内に、だんだんと冷静に話せるようになっていきました。

私は、○ちゃんがいないということを、何度も同じ話をしている間に納得したのだと思い込んでいました。

久し振りに出会った方に、○ちゃんのことを報告した時も、私は平気でした。

でも今日、黒ラブちゃんを撫でた瞬間、ふいに○ちゃんの顔が頭に浮かんできました。

そうや。
もう、○ちゃんには、さわれへんのやった。

私は危うく、三宮の交差点で泣いてしまうところでした。

あの夜が、もうずっと前のような気がしていましたが、まだ1ヶ月も経っていないことに気付きました。

以前に見たサイトを探して来て、もう1度読んでみました。

「犬を飼うって素敵・・・ですか?」

ちっとも素敵と違う!
全然楽しくない!
こんなに別れは悲しいもん!

○ちゃんがいたことで「私」という人間のどこかが成り立っていたのです。

弟が亡くなって、もう誰も私のことを「おねえちゃん」と呼ぶ人がいなくなったのと同じように、もう誰も私のことを「○ちゃんのお母さん」と呼ぶ人はいなくなりました。

この「引きちぎられた感じ」は、○ちゃんを「飼う」と決めた私の中で、これからもずっと続いていくと思います。

その後で、たかしと「ワンちゃんの為にできること」を一緒に考えました。

たかしは、やっぱり「じゅういさんに なって、もっと ちかいところに おいしゃさんを つくる」と宣言していました。

いや、喩え獣医さんにはなれなくても、何かできることを探していきたいと思いました。


家で晩ご飯を食べている時に、今日会った友達からメールが届きました。

私が「真剣にどんな勉強なんか、知りたかったらしい」と返事をすると、たぶんJRの中で携帯をぽちぽちと打って、たかしにお返事をくれはりました。

以下、引用します。
名前は変えてあります。

「私は本の歴史を勉強して来たよ。
 本の歴史は「共有」の歴史です。
 共有とは「一人じめにせんと皆で分かち合う」て事。
 たかしが一人で凄く面白い事思いついても、たかしが誰にも言わへんだらたかしにしか解らん。
 でもそれを母ちゃんに話したら二人で笑える。
 それを母ちゃんがMacで書いたらもっと沢山の人と一緒に笑える。
 文字で残したら一人だけで楽しかった事が沢山の人と分かち合えるねん。
 本は皆を繋ぐ手です。
 絵画もそうです。
 絵と本は同じ人と人を繋ぐ手やから、沢山の人を繋ぐために、今まで沢山の絵本が作られました。
 そんな歴史を見て、私もいつか、人と人を繋ぐ手になるような絵を描きたいなと思いました。」

たかしに読み聞かせながら、私は本当に心を打たれました。

大学のゼミで、確か「芸術」について討論している時、ある人が「絵なんてものはね、所詮はマスターベーションなんですよ。意味なんて、それくらいしか、ないんですよね」って発言しはった時、猛烈に「違う!」と思いましたが、どこがどう「違う」のか、その時の私には反論できませんでした。

私が多感な頃に勉強していたのは「デザイン」だったので、そこには「何を、どう伝えるか」という事をいつでも念頭に置いて考えていたように思います。

「AIDMAの法則」の事を習った時は、そこには商業的な要素もありましたが、その当時の私はもっと純粋に「何を、どう伝えるか」の基本的なことのように思えました。

そこには「他者」が必ず存在していたし、決して「自分1人だけが気持ちいい」ことではありませんでした。

友達の、たかしに教えようとしてくれはった京都弁丸出しのメールで、積年のもやもやが晴れました。

こんなに大事で大切なことを、誰もが簡単に説明できひんよなぁ、と、ちょっと感動してしまいました。

たかしが保育園で「だれもな、ウンパパ・ルンパの おはなししてもな、わかってくれへんねん」と嘆くのは、誰かと「分かち合いたい」から。

私がこのBlogを書くのは、誰かとたかしの「笑ける様」を「分かち合いたい」から。

な〜んや、簡単なことやったんや。

では、ひとつ。

「この、抱っこしてるのは、何て名前?」
「スヌーピーちゃん」

「ほな、抱っこされてる、黄色い鳥さんは?」
心が動いた日_b0049646_2252336.jpg

「ウンドドドクスちゃん」


・・・どんな耳してんねん!
Commented by カオルン at 2006-05-21 06:49 x
お友達のメールに、私もまた感動しました。

今日もまた、ほんわかする心を
分かち合わせてもらいました。

○ちゃんも一緒にいる時間を分かち合うために
出合ったのでしょう・・・

別れの悲しさよりも、
分かち合った時間の喜びがずっとずっと大きい事を
思い出させてくれているのかもしれません。

まぬけ鳥さんもたかし君に呼ばれると、
さかさむけに落ちてきそうですね。
Commented by stretch_tongari at 2006-05-21 10:40
少し落ち着いてこられたのでしょぅか?

私は、愛犬が亡くなる時に家族と 『もう動物は飼えない』 と話しました。もう2度とこんなに悲しい思いをしたくないと思ったからです。
でも、13年間お世話になっていた獣医さんから・・・

今回の事で、生き物を飼うということを怖がらないで下さい。
最期は悲しくて辛かったかもしれないけれど、それだけではなかったはずです。楽しい思い出の方がたくさんあるはずです。あなたのお子さんが、いつか生き物を飼いたいと言った時に 『生き物は死ぬから嫌』 なんて言わないで下さい。絶対に良いことですから。

と言われて、目からウロコが落ちた気持ちでした。
確かに最期は悲しかったけど、たくさんのいい思い出が出来ました。
3年経って・・・また犬が飼いたい衝動にかられる今日この頃です。
Commented by marurin373 at 2006-05-22 00:15
>カオルンさん
この友達は、なんていうかあまり多くは語らないのですが、いつも心に響く言葉を持つ人なのです。

よく考えてみると、私は○ちゃんと過ごした日々が、とても幸せでした。
後悔はもう本当にたくさんありますが、でもその時なりに幸せでした。
○ちゃんの存在そのものが、私の幸せでした。

後もう少ししたら、その「幸せだった瞬間」のことも思い出すようになれるでしょうか。
Commented by marurin373 at 2006-05-22 00:20
>とんがりさん
なんかいろいろと書いていますが、本音はもう犬が欲しくて欲しくてたまりません。
○ちゃんの代わりではなく、新たな家族として。

でも、私は、もう犬の世話ができません。
サンポさえもろくにできなくなりました。

だから、もしもたかしが憧れのフレンチ・ブルを飼いたいと言い出したら・・・。
責任と、覚悟のことを充分に話して聞かせて、たぶん許してしまうと思います。
たかしが主となって飼うのであれば・・・。

○ちゃんには悪いのですが、いろんな事を教えてくれたので、教訓としてまた幸せになりたいと思っています。

「犬の家族」って、本当にいいんですよね・・・。


Commented by bonita_bonita at 2006-05-23 11:24
お友達の言葉、素敵です!
わたしも「なるほど・・そうだったのか、」と言葉で教えてもらった気がします。言葉で表現するのは難しいですもんね。
>「ウンドドドクスちゃん」
めっちゃ笑ってしまった(笑)
Commented by marurin373 at 2006-05-23 17:02
>bonitaさん
友達も、とっても素敵な絵を描く人です。
なんていうか、もっともらしく語られるよりも、心に響きました。
「1人じめにせんとみんなで分かち合う」って、本当に大切で大事で、そして素敵なことですよね。

で、bonitaさんと「ウンドドドクスちゃん」の可笑しさを分かち合えて、とっても嬉しいです。
by marurin373 | 2006-05-21 02:29 | 今日の出来事 | Trackback | Comments(6)