たかしの手術 その2 〜粉瘤編〜 (訂正)

たかしの左脇の下にできたのは「ニキビ」ではなく「粉瘤」というものでした。

きっかけは、傷口やニキビの跡らしいのですが、ニキビではない、と言われました。

それにしてもたかしは、この「粉瘤」についてよく調べ上げ、そして落ち込んでいます。

「再発は避けられへんらしい」
「再発のたんびに手術せなあかんらしい」

全ての情報が「らしい」で終わっていますが、とにかくたかしは「オレのこれからの人生は粉瘤ができる運命」などと言い、がっくりうなだれたはります。


で、昨晩、とうとうその「粉瘤」の手術に行ってきました。

てっきり1人で行くものだと思っていましたが「一応、オレは未成年やし」とか「取り敢えず」とか「気分が悪うなったら連れて帰って」とか言われ、私も小雪降る中、お供いたしました。

全ての診察の後なので、夜の8時から予約しています。

なのに、7時になっても、まだうだうだとジャージのまんま、うろうろしたはります。

「そろそろえ。早よ着替えよし」
「ちゃうねん。行って待つのがイヤやねん。行ってすぐに、手術がええねん」
「そやけど、着替えくらいはしよし」
「あぁ〜ん、もうイヤや〜」
「言うても、今日やんか」
「先生がな、手術って決まった時にな、一瞬、不安そうな顔しはってんもん!」

何度も同じやり取りをし、40分になってやっとジャージからチノパンへ。

「寒いさかい、しっかり着なあかへんえ」
「なんで? これの上に、まだパーカー着るんやで?」
「かあちゃんなんか、何枚着てると思う?」
「そんな、おばはん事情なんか、知らん」
「もう、一緒に行かへんえ」
「わかったし!」

2人とも違うところでイライラしています。

皮膚科へと続く坂道を下りながら、たかしが喋る喋る。

いつもは私が喋っても、たかしは殆ど返事もせず、それどころか左斜め後方1メートル辺りを歩くのに、昨日に限っては真横にびったりと張り付き、んもうべらべら喋ります。

「下半身麻酔と全身麻酔と部分麻酔について」
「粉瘤の知識」
「粉瘤ができた、そもそもの原因」
「今現在の様子」
「仮面ライダーエグゼイドについて」
「積もる雪と積もらない雪の違い」

聞く方も大変です。

たかしが喋ってる間に、すぐに着いてしまいました。

皮膚科のドアの前で最後の「イヤや〜」を言った後、待合室へ。

すると、もう諦めたのか、意を決したのか、突然「2月の2日から、レジが新しくなるねん」と話し出しました。

たかしは、今コンビニでバイトをしているのですが、なんで今この瞬間に? というタイミングで、コンビニのレジの話しが始まりました。

全然関係のない話しをして、気を紛らわせているのかもしれません。

「タッチパネルが増えるんやって。そういうたら、オレ、おでん売ったことないわ」

私は、あまりにもたかしが真剣な顔をして話すので、笑えて仕方ないのですが、ぐっと我慢して聞いていました。

しばらくして名前が呼ばれ、すっくと立ち上がり「はい」と言って歩き出す前に、私の方へ振り向いて、何故か、こくんと頷き、診察室へ。

まるで戦場に向かう兵士のようです。

顔色は、真っ青。

扉を開けて、入っていった後、私は1人待合室にいました。

お薬が処方されているらしいので、たかしの手術が終わるのを待たずに、先に調剤薬局へ行きお薬をもらい、皮膚科に戻ると青い顔をした、たかしが座って待っていました。

もう、何も話しません。

帰りにコンビニに行き、たかしは1200円もするポケモンのゲームのダウンロード版を買い、私はおやつを買い、今度は坂道を上がって帰途につきました。

「あのな、先生が『見るか?』て言うて、取ったん見せてくれはってんけどな、なんか砂肝みたいなんやった」
「砂肝?」
「うん。思ってたんと、全然違ごてた。んでな、写真撮るか? て、言わはるんやで? んもう、そんなもん、残しておきたくないわ。何の記念やねん。そやけど、5センチくらいの大きさやったし、でかくてびっくりしたわ」

手術が終わり、ホッとしたのか、またよく喋るたかしさん。


次の日、つまり今日の12時に予約をとったらしく、また傷口を診せに行かないといけません。

今度こそ1人で、と思ったら「一応、」と言われ、私まで行くことに。


私の予想通り、夜遅くなってから、傷口が痛み出したらしく、うんうん唸ってはります。

「お薬、飲みよし」
「うん」

「・・・まだ痛いんやけど、いつ効くん?」
「そら、麻酔が切れてきたんやから、痛いのんは、しゃあないえ」
「かあちゃんがいつも飲んでる、きっつい痛み止め、くれ」
「胃、悪うするえ」
「胃薬もくれ」
「そら、あるけど」
「こんな痛かったら、寝られへん」
「なんかお腹に入れな」
「さっき、ポッキー食べた」
「まぁ、ええか」

私が持ってる、そんなにきつくない痛み止めを渡すと、ごくごくと大量の水と共に飲み、安心した顔にならはりました。

歯医者さんで「麻酔が切れて、痛くなったら」と言ってもらうようなお薬なんですが、たかしに「このお薬は、きついえ」と言いながら渡したので、よく効いたようです。
私は、プラシーボ効果を目の当たりにしながら、言霊の力に驚いていました。


さて。

今日の目覚めは、そんなに悪くなかったようです。

「ちょっと痛いけど、それよりもガーゼ貼ってるテープが痒い」

いろいろ文句があります。

次は来週の「抜糸」を恐れている、たかし。

ほんまに、たかしも、いろいろある人生を送ったはります。











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by marurin373 | 2018-01-27 09:44 | 息子(たかし) | Trackback | Comments(0)