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なくて七癖

私には、変な癖がありました。

母に「トイレに行ってもいい?」と聞くのです。

幼少期、母は出掛ける前やお風呂に入る前、寝る前など「何かをする前」には必ず私をトイレに行かせていました。

それにトイレが遠かったらしく、時間が経ったら出る・出ないに関わらず「トイレに行きなさい」と言いました。

何かをしていたりテレビを見ていたりして「後で」とか「今、出ーへんもん」などと言うものなら「なんでお母さんの言うことが聞けへんの!」と烈火の如く怒るので、私も素直にトイレに行っていました。

幼稚園の頃「みつばちハッチ」を見ていた私は、かわいそうで仕方なくて、わんわん泣いてしまいました。
それでも「みつばちハッチ」が終わると「トイレに行きなさい」と声がかかり、私は泣きながらトイレに行き、次の「いなかっぺ大将」が始まってもまだ泣いていました。

母は、私がどんな状況であれ、必ずトイレに行かせるのです。

その代わり、出先でトイレに行きたくなり、母に告げると「ちっ」と舌打ちをして「そやさかいあんたと出掛けるのはイヤやねん」などと小言を言いつつ、トイレを探すのです。

なので、私はトイレに行きたくても我慢する癖がついてしまいました。


それから、もう大学生になってからも、トイレに行きたくなった時に、母に聞くようになりました。

「お母さん、トイレ、行ってもいい?」と。

その頃には母も「あかんて言うたら、どうするねんな」と笑っていましたが、私はトイレに行きたくなる度に「お母さん、トイレ、行ってもいい?」と聞くのです。


私がたかしの母となり、母も亡くなってから、そんなことはすっかり忘れていました。

ところが、つい先程、私はたかしに聞いてしまいました。

「トイレ、行ってもいい?」と。

たかしは「んあ?」と不思議そうな顔をしていましたが、聞いてしまった私も驚いてしまいました。

無意識のうちに、幼少期から大人になってからの「癖」が、現れたのです。

もちろん、たかしがトイレに行こうとしている時ではありませんでした。

それでも、つい聞いてしまったのです。

忘れていた筈の「癖」が、何故か甦り、戸惑っています。

もう私を怒る親はいないのに。

この変な「癖」は、一過性のものであってほしいと思っています。









by marurin373 | 2018-03-26 01:20 | 思うこととかなど | Trackback | Comments(0)