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お手てのシワとシワを合わせて

犬たかしくんがお腹にいる時、いろいろな方にこう言われました。

「きっと、弟さんの生まれ変わりやわ」

私は男の子だと確信していたし、もし弟が生まれ変わってくるのならば、私もちょっと頑張ってみようと思っていました。

来月は臨月という頃、実家の菩提寺である本能寺に行き、お墓参りをしました。
その時に御坊さんと会い、大きく大きくなったお腹を見ていただきました。

「きっとね、弟さんがね、お姉さんの力を借りてね、もう一度生まれようとされてるんです。だからね、一緒に力を合わせて、頑張ってくださいね」

私は弟に何にもしてあげられなかった。
だから、今度は一緒に頑張ろう。
とかなんとか思っていました。

そして無事今の息子が生まれたのですが。

父方の祖母が息子の顔を見に来てくれはりました。

顔を見るなり、私の父の名前を。
そして、父が赤ちゃんの頃の話をずっとしてくれはりました。

私は、お宮参りに神社には行かずに、父と弟が眠る本能寺にお参りに行きました。
ちゃんとおでこに「大」の字を書いてもらって、読経。

その時、息子が大音量のおならをしたのも、今ではいい思い出です。

その時に御坊さんが言わはったこと。

「あっ! これは、お父さんですね」
「え? 弟じゃないんですか?」
「はい、お父さんですね」

かわいいかわいいと思って見つめていた息子が、私のお父さんの生まれ変わり・・・。

オムツを替えているのが、なんか介護みたいに気になってしまう。

父と母の同級生のおじさんにも「お前、お父さん産んだんやな」と言われました。
「こんなにかわいいのに?」
「あいつ、結構かわいい顔しとったで」

でもイヤ。

確かに、息子は亡父に似ているところがたくさんあります。

でも息子は息子。
お父さんとちがう。

そんな事もすっかり忘れていた昨日。

息子の七五三の写真を見はった方が、またまた「娘さんは、お父さんを産んであげはったんですね」と言わはったそうで。

そう思って息子の顔を見ると、だんだんと似てきたようにも思う。

いやしかし。
そもそも、私が父に似ているのです。
その私に似ている息子ならば、必然的に父にも似ていてもおかしくはない。

しかし、胡座をかいてこちょこちょと何かを作っている姿。
ちょっと口を歪めて話すところ。
変な収集癖。
そして、お絵描きが何よりも好き。
いや、お絵描きよりも、立体の方が好きなところ。

顔かたちだけではなく、仕草や癖にも共通点・・・。

そうか。
私は、やっぱり父を産んだのか。
そして、息子がやがて結婚して子供ができた時、また弟が産まれるのか。

今日は、息子が突然「きょうは、オレが ごはん つくるわ!」と言って、台所に。

ごはんを炊き、サラダを作ってくれました。

お手てのシワとシワを合わせて_b0049646_19474177.jpg

「とくせい 犬たかしサラダ! よく見ると顔!」


息子が包丁を使う時は、本当にヒヤヒヤします。
お尻の辺りが、しゅぅ〜っとします。
思わず手を出しそうになるのをぐっと堪えて見ているのは、本当にコワい。

「ほれ、猫さんの手!」
「わかってる」
「危ない!」
「・・・かあちゃん、ちょっと おるさい」
こちらが怒られてしまう。

でも、少しは痛い思いや「ひやっ」とする感じを味合わないと、包丁を使う時に気をつけることができないし。

こちらの方が修行している気になります。

しかし息子は、案外器用に包丁を使い、ジャガイモやお茄子を切っていました。
ただひとつ気になったのは、小指が立っていたこと。
ま、ええか。

ただ塩茹でしただけのサラダにドレッシングをかけて食べると、本当に美味しい。

晩年、父はずっとご飯を作っていました。
父の作る料理は、私の身体に合わせた薄味で、なんか「田舎のおばあちゃん」みたいな味。
お父さんの作ったご飯、もう1度食べたいなぁ。

もしかすると、父が息子を通して私にご飯を作ってくれたのかもしれません。

「なぁ、じぃじ、どこにいてはるんかなぁ?」
「オレの こころのなか」
「ほな、」と言って、息子に手を合わせて拝んでおきました。

「あのな、お手てのシワとシワを合わせてしあわせ、なーむーって、知ってる?」
「え? しらん」
「やっぱり見たことないか」
「どうすんの?」
「お手ての、シワとシワを合わせて拝むねん」
「こう?」
「で、最後になぁーむぅーって言うねん」
息子は何度も何度も父の写真に向かって「なぁーむぅー」をしていました。

「オレ、いままで なんにも いわんと おがんでたけど、こういうんかー」
いや、ちょっと違うけど。

今日は、父の7回目の命日です。
なぁーむぅー。
Commented at 2006-02-20 05:49
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by marurin373 | 2006-02-19 20:09 | 思うこととかなど | Trackback | Comments(1)